
MSD – Global POP Wave in the 21st Century
16 May – 30 June, 2019
Antiguo Mercado de Mayoristas
この度、CAC Málaga は、POP ARTの世界的な広がりとその勢いを表した企画展MSDを開催致します。本展は、漫画、アニメーション、ゲーム、音楽、アンダーグラウンドカルチャー、デザインなどと融合して独自の発展を遂げた「POP」という概念が今世紀において再び再解釈され、ソーシャルメディア革命の追い風によって、アートシーンのみならずIT産業や、AI産業など新たなクリエイティブ産業など呼ばれる分野を巻き込んで、これまでになかった力を持ちつつあるアートの現在を表した野心的な展覧会となります。
Richard Hamilton の “Popular, transient, expendable, low-cost, mass-produced, young, witty, sexy, gimmicky, glamorous, and Big Business.” という言葉に象徴される様に、そもそもPOP ARTは、マスメディアや広告に関心を示し、アメリカの大衆文化の影響を受け、伝統や既成の権威への反発、ハイ・カルチャーとサブ・カルチャーの区別を取り払ったことなどが特徴としてあげられます。既に半世紀もの間、大衆文化を象徴する言葉として広く定着している「POP」は、現代において Sex, Punk, Science Fiction, Psychedelic, Streetといった文脈を新たに取り込み、アートにおいても複合的なレイヤーを持つようになりました。
本展は、60年代半ばよりPOP ARTの文脈を取り込んだ作品を制作し日本への「POP」の導入に大きな影響を与えた田名網敬一、風刺色の強い独自の絵画作品を50年代より描き、現在はアメリカのポップアートの父の一人とも称されるPeter Saul、そしてその教えを受けたErik Parker、アメリカの次世代ストリートアートを象徴するKAWS、独学で習得した技術に基づいて使い古しのスケートボードで彫像作品を作るHaroshi、自身の様々な思考、日常の風景をシンプルなキャラクターに乗せて描くJames Jarvis、日本の漫画カルチャーから派生した作品を生み出すMori Masato、アメリカの大衆文化を象徴するアイコンたちをダイナミックに描くKatherine Bernhardt 、TVゲーム、PUNKといったテーマに基づく作品を数多く生み出しているイギリス人コンセプチュアルアーティストOliver Payne、シンプルな言葉や象徴的な形体に特別な意味を読ませるJulia Chiang、90年代よりNYのグラフィティーシーンで活動し、ポップでアイロニーに満ちた作風で知られるTodd James、マーフガレット・キーンや奈良美智、マグリッドなどの影響を受けながら愛嬌に溢れた肖像画を描くスペイン人アーティストJavier Calleja、時代を超えて描かれたかのような童話的な油絵手法で、シュールでポップな世界観を描くMark Ryden、ドイツの寓話を現代的に再解釈して描き出すMartin Mannig、女性が自ら主張するピンナップ風の肖像画作品で70年代から80年代にかけての日本の「ウーマンリブ運動」を代表するアーティストとなった山口はるみ、現代の春画絵師と称される佐伯俊男、1980年代に女性の身体美をロボットに置き換えたSEXY ROBOTシリーズを発表し、現在は人工知能や人体以後の生命といったテーマとも関連して語られる空山基、現在を考古学的な視点で捉えた作品を生み出すDaniel Arsham、視覚と認識の間に生まれる誤差を探求しイメージの再構築を図る佃弘樹、音楽、プロレスリングなどの影響を受け、シュールで力強い肖像画を描くことで知られる五木田智央、日常的に慣れ親しんでいるイメージに対するアーティスト自身の戦い、愛着、研究の成果としての絵画を製作し続けているドイツ人女性アーティストTatjana Dollといった面々の作品が一堂に会します。
本展は、単にPOPという文脈を俯瞰的に解説するだけでなく、アーティスト同士の相互影響関係をマッピングし、その多様性を見せることによって、拡大と発展を続ける現代アートのエネルギーを証明することでしょう。
参加アーティスト:
ダニエル・アーシャム、エリック・パーカー、ハロシ、山口はるみ、空山基、佃弘樹、ジュリア・チャン、ジェームス・ジャービス、ハビア・カジェハ、KAWS、キャサリン・バーンハート、田名網敬一、森雅人(マストワン)、マーティン・マニグ、マーク・ライデン、オリバー・ペイン、ピーター・ソール、タティアナ・ドール、五木田智央、トッド・ジェームス、佐伯俊男